親鸞 1173〜1262
鎌倉時代初期、下級貴族の子として生まれる。両親に死別し、
9歳にして比叡山に出家した。歎異抄には悪人正機の思想が 描かれている。「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」。
信仰のキャリアを積むほど心に、我欲や虚栄心が芽生え、仏と
の繋がりが切れる。やがては、組織ありて我ありになってしまう。
これは信仰教団が陥りやすい心得違いである。
こんな善人でさえ往生をとげるのであれば、唯々、仏の慈悲にす がる悪人は、尚更、救われるという。仏に近づくには、意識するし
ないに関わらず、仏ありて我ありを常に自覚することである。ゆえ
に親鸞は組織というものを作らなかった。弟子をとらなかった。
「心は蛇蝎の如くなり」。人間の本質というものを見抜いていた。
だから、ひたすら仏の慈悲にすがった。他力本願の真意は「生か されている」ことにあった。世間にいう仏任せの無責任ではない。
仏の慈悲や人々の愛に生かされている。その白い道を歩んでい
った。それが現代の内観に通じている。
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