与謝野晶子 1878〜1942
堺出身で、明治・大正時代に生きる。明星派を代表する浪漫主 義歌人であり、「詩は命」という鉄幹の妻である。みだれ髪・舞姫
という代表作がある。平和に関する詩が「君死にたまうことなかれ
」であり、日露戦争に出兵した弟を思い詠んだ詩である。彼女な
りの反戦の詩魂とも受け止められる。
君死にたまうことなかれ
すめらみことは戦いに
王自らはいでませぬ
形見に人の血を流し
獣の道に死ねよとは
君死にたまうことなかれ
日露戦争は辛うじて、東郷平八郎の働きにより、大国ロシアを
破り、勝利をおさめた。しかし、この詩は歴史のうねりの中、男た
ちの兵隊然とする姿に、女たちの悲哀を詠み込んだ。庶民を代
表する詩になった。この時代、明星派は北原白秋・高村光太郎 など優れた文学者を輩出した。
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